「歯周病の治し方はある?」
「歯周病を自分で改善する方法を知りたい」
「予防や治療に役立つ日常的にできるケア方法を学びたい」
上記の疑問をお持ちの方は、歯周病の進行が気になってはいるものの、歯医者に行く時間が取れないため不安に感じているのではないでしょうか。
結論、歯周病は自宅でのセルフケアだけで根本的に治すことはできません。
本記事では、「歯周病の自分での治し方について、予防する方法や正しい歯磨き方法」を紹介します。
生活習慣の改善で歯周病の悪化を防止する方法まで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
目次
歯周病を自分で完全に治すことはできず、歯科医院での専門的な治療が不可欠です。
それぞれ解説します。
歯周病とは、歯垢(プラーク)に含まれる細菌が原因で歯茎に炎症が起き、進行すると歯を支える骨が溶けてしまう病気です。
歯と歯茎の間にできた歯周ポケットへ細菌が侵入し、毒素を出すことで炎症が引き起こされます。
初期段階では歯茎の腫れや出血といった歯肉炎の症状が見られますが、悪化すると膿が出たり歯がグラグラしたりして、最終的に歯が抜け落ちる場合もあるため注意が必要です。
自覚症状が少ないまま静かに進行するため、「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれています。
歯周病は、自宅でのセルフケアだけで根本的に治すことはできません。
日々の丁寧な歯磨きは歯垢の除去につながり、歯周病の進行を抑制するうえで重要ですが、一度硬く固まってしまった歯石は歯科医院の専門的な器具でなければ除去できないためです。
とくに、歯周ポケットの奥深くに形成された歯石は、細菌の温床となり炎症を悪化させ続けます。
そのため、歯周病を治療するにはセルフケアと並行し、歯科医院で定期的なクリーニングや専門的な処置を受けることが不可欠です。
歯周病を自分で予防する方法は、以下の4つです。
ひとつずつ解説します。
歯周病予防のためには、毎日の歯磨きと合わせてデンタルフロスや歯間ブラシの使用を推奨します。
歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間は、歯垢が最も溜まりやすい場所であり、歯周病の多くがここから進行するためです。
歯ブラシだけでの歯垢除去率は約60%ですが、デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると90%近くまで高まると報告されています。
引用元:お口と歯の健康最前線 使いこなせてますか?「歯間清掃具」|お口と全身の健康を学べるWebマガジン|日本歯科医師会
歯磨きの仕上げとして、補助清掃用具を取り入れる習慣が、お口の健康を守るポイントです。
舌の表面に付着する舌苔(ぜったい)を取り除くことも、歯周病予防において重要なケアです。
舌苔は食べかすや細菌の塊であり、口臭の主な原因となるだけでなく、歯周病菌を含む細菌の温床にもなるからです。
清掃は、専用の舌ブラシか柔らかい歯ブラシを使い、奥から手前に優しく数回かき出すようにおこないます。
歯だけでなく舌も清潔に保つことで、より効果的な口腔ケアが実現します。
薬局等では歯周病の予防目的の歯磨き粉が売られています。
歯周病菌に対する殺菌成分や、歯茎の炎症を抑える抗炎症成分が配合されたものも多いです。
これらを使うと、化学的なアプローチで炎症を軽減が期待できますが、残念ながら見かけ上の炎症が軽減するだけで予防ができるかというと臨床的には疑問が残ります。
注意していただきたいのは、歯肉炎や歯周病がありプラークが残っているのに症状が軽減し治ったと勘違いしてしまうことです。
予防に大切なのはプラークをしっかり機械的に取り除くことです。
歯周病予防の基本として、少なくとも1カ月に1回は歯ブラシを交換するのが大切です。
同じ歯ブラシを長く使っていると毛先が開き、歯の表面や歯と歯茎の境目にきちんと当たらなくなります。
毛先が開いた歯ブラシでは、どんなに丁寧に磨いても歯垢を効率的に除去できず、清掃効果は著しく低下しやすいです。
毛先が開いてきたと感じたら、早めに新しいものに交換する習慣をつけましょう。
歯周病を自分で予防するための正しい歯磨き方法は、以下の4つです。
それぞれ解説します。
正しい歯磨きのポイントについては、下記の記事でより詳しく解説しています。
歯磨きしすぎのオーバーブラッシングとは?正しい磨き方やポイントを解説
「バス法」は、歯と歯茎の境目にある歯周ポケットの清掃に最も効果的な磨き方です。
歯ブラシの毛先を歯周ポケットに45度の角度で当て、細かく振動させることで、ポケット内部の歯垢を効率的にかき出せるためです。
力を入れすぎると歯茎を傷つける可能性があるため、軽い力で優しく磨くことがポイントです。
とくに歯周病が気になる方や、すでに歯肉炎の症状がある方におすすめの方法です。
「ローリング法」は、歯茎のマッサージ効果も期待できる、歯肉炎の方向けの歯磨き方法です。
歯ブラシの毛先を歯の根元に向け、歯と歯茎の境目に当ててから、手首を回転させるようにして歯の表面を磨きます。
この動きによって、歯の表面の歯垢を除去すると同時に、歯茎の血行を促進できます。
歯周病予防の初期段階として、健康な歯茎を保つために有効なブラッシング方法です。
「スクラビング法」は、歯の表面や、食べ物を噛み砕く「咬合面(こうごうめん)」の清掃に適した磨き方です。
歯ブラシの毛先を歯の表面に直角に当て、小刻みに往復運動させて磨きます。
操作が比較的簡単で、歯の広い面の歯垢を効率的に除去できるのが特徴です。
ただし、力を入れすぎると歯や歯茎を傷つける原因になるため、軽い力でおこなうことを意識してください。
「フォーンズ法」は、円を描くように歯ブラシを動かす、非常に簡単な磨き方です。
上下の歯を軽く噛み合わせた状態で、歯ブラシの毛先を歯の表面に当て、大きな円を描くようにクルクルと磨きます。
操作が簡単なため、主に歯磨きを始めたばかりの小さなお子様におすすめされる方法です。
ただし、歯と歯の間や歯周ポケットの清掃には不向きなため、大人の歯周病予防にはほかの方法が推奨されます。
さまざまな磨き方がありますが、どういったものを使ってどういった磨き方が適切かは歯科医院で直接指導してもらいましょう。
生活習慣の改善で歯周病の悪化を防止する方法は、以下の4つです。
ひとつずつ解説します。
歯周病の悪化を防ぐには、まず食生活を見直すことが重要です。
糖分を多く含む食べ物や飲み物は、歯垢の原因となる細菌の栄養源となり、歯周病を進行させるリスクを高めます。
また、やわらかいものばかり食べていると、噛む回数が減り、唾液の分泌が少なくなる傾向があります。
栄養バランスの取れた食事を基本とし、間食を控えることが、歯周病に負けない口内環境づくりのポイントです。
唾液の分泌を促すことも、歯周病予防につながる有効な方法です。
唾液には、口のなかの細菌や食べかすを洗い流す「自浄作用」や、細菌の増殖を抑える「抗菌作用」があります。
よく噛む必要がある根菜類や、酸味のある梅干し、レモンなどを食事に取り入れると、唾液の分泌が促進されやすいです。
食事の際は、一口30回を目安によく噛むことを意識するだけでも効果が期待できます。
喫煙は歯周病の最も大きなリスク因子の一つであり、禁煙は悪化防止に不可欠です。
タバコに含まれるニコチンは、歯茎の血管を収縮させて血行を悪化させます。
血行が悪くなると、歯茎への酸素や栄養の供給が滞り、細菌に対する抵抗力が低下しやすいです。
歯周病が治りにくくなるため、お口の健康のためにも禁煙を推奨します。
体全体の免疫力を高めることも、歯周病の悪化防止につながります。
歯周病は細菌による感染症であるため、体の免疫力が低下すると症状が進行しやすくなります。
十分な睡眠や適度な運動、ストレスの解消など、規則正しい生活を心がけることが免疫力の維持・向上に不可欠です。
健康的な生活習慣は、歯周病だけでなく、さまざまな病気の予防につながる大切な要素です。
歯周病の治し方で「効く」といわれる自宅での治療法の効果を、以下に紹介していきます。
それぞれ解説します。
うがい薬やマウスウォッシュは、口のなかの細菌を一時的に減らし口臭を予防する効果は期待できますが、歯周病を治療するものではありません。
これらの液体は、歯の表面に付着したネバネバとした歯垢(プラーク)を洗い流すことはできないためです。
歯磨きの補助として使用するのは有効ですが、ブラッシングに代わるものではないと理解しておく必要があります。
あくまで日々の丁寧な歯磨きが基本です。
歯周病予防に特化した薬用歯磨き粉は、セルフケアの質を高めるうえで役立ちます。
殺菌成分や抗炎症成分が配合されており、歯茎の腫れや出血を抑える効果が期待できます。
しかし、これらの歯磨き粉を使っても、歯周病の原因である歯石は除去できません。
薬用歯磨き粉は歯周病の進行抑制や予防を助ける手段であり、治療薬ではないと認識することが大切です。
歯茎の腫れや出血に対し、市販の塗り薬や軟膏を使用する方もいるでしょう。
しかし、これらは歯茎表面の炎症を一時的に和らげる対症療法に過ぎず、歯周病の根本原因は解決できません。
痛みや腫れが引いても、歯周ポケットの内部で病状が進行している場合があります。
根本的な治療のためには、必ず歯科医院を受診しましょう。
歯周病治療では、歯科医師の判断で飲み薬や抗生物質が処方されることがあります。
これらは歯周病菌を体内から叩く専門的な医薬品で、重度の歯周病や急性症状がある場合に用いられます。
ただし、これらの薬は医師の診断にもとづいて処方されるため、自己判断での使用は避けましょう。
不適切な使用は、かえって症状を悪化させる危険性もあります。
歯周病を自分で治すことはできず、最も重要なのはセルフケアによる「予防」と、歯科医院での「定期検診による早期発見・治療」です。
歯周病は自覚症状なく進行し、一度失われた歯を支える骨はもとに戻らないため、専門家によるチェックとクリーニングが不可欠です。
将来的に歯の健康を維持したい方や、美しい歯を維持したい方は、歯科医院での定期的なクリーニングをおこないましょう。
日常の歯磨きで取り除けない歯垢や歯石などを除去し、歯科予防をおこなうのがより効果的です。
また、当院では予防歯科に力を入れています。現在歯に違和感を感じている方や不安がある方、ぜひ岡谷市の歯科医院、山田歯科医院までお気軽にご相談ください。